after the winter

暇人が物語を書いていきます。よろしくお願いします。

想いは大気圏を越えて

願いの重力を振り切り、想いは大気圏を越える。


この宇宙のどこかに同じ苦しみや希望を持った仲間がいることを信じて。


たくさんの推進剤を背負ったロケットは、単なる機械の集合体が背負うにしては重すぎる多くの夢を乗せる。


母なる星に別れを告げ、いつか帰ってくることを約束し、進み続ける。

 

たとえその先に、誰も待っていなかったとしても。


ただ進み続けることをやめない限り、人類がひとりで生きてゆくには広すぎるこの宇宙で孤独であることを否定し続けようとする限り、いつかどこかに。

 

そしてまた一つ、大気圏を越えて、存在すら知らない君の待つ星まで疾り続ける一筋の孤独。


孤独でないことの証明はできなくとも、誰かとわかちあおうと進み続ける限り、僕らの心は孤独からはるか遠くへ駆け抜けてゆく。

 

たとえフィクションでも、そう信じて。