いたいのいたいの
毎日の登校時間のため、僕は早歩きをしていた。少し時間が遅れ気味だ、急がねばならない。
学校へ向かう曲がり角で「あっ」小さな子供とぶつかった。ふくらはぎに痛みが走る。
「ごめんね、大丈夫?」そう声をかけると子供は言った。
「いたいなぁ…いたいのいたいのとんでいけ!」
次の瞬間、僕らは砂漠の中にいた。ふくらはぎをさすりながら、
「これはどうしたことだろう」と目をぱちくりさせた。
「まだいたい?わたしも!いたいのいたいのとんでいけ!」
次の瞬間、僕らは見知らぬ外国の車道に突っ立っていた。クラクションの音に驚きながら、足の痛みをまだ感じていると、
「まだいたいのかな!いたいのいたいのとんでいけ!」
次の瞬間、海の上に浮かぶ、小さな小さな島の上に二人で並んでいた。足の痛みは治まっていたので、周りを見回し、何がどうなっているのかいぶかしげに思う。
「わたしはまだいたいなぁ…いたいのいたいのとんでいけ!」
次の瞬間、少女は目の前から消えた。